9月5日から6日にかけて、1泊2日の京都旅行に出かけました。これまで何度も訪れている京都ですが、今回はまだ足を運んだことのない名刹や名社を中心に巡る旅です。1日目は醍醐寺と石山寺を訪れ、2日目は上賀茂神社、相国寺、晴明神社、そして平安神宮を参拝しました。
最初に訪れたのは真言宗醍醐派の総本山・醍醐寺です。貞観16年(874年)に聖宝によって開かれた、由緒ある古刹として知られています。境内は上醍醐と下醍醐の二つのエリアから成り、約200万坪もの広大な敷地を有しています。真言密教の修法道場としての歴史を持ち、上醍醐にそびえる醍醐山(標高約450m)は古くから山岳修行の場として知られています。上醍醐までは山道を歩いておよそ1時間ほどかかります。
所在地は京都市街地から少し離れた山科区にあり、アクセスは京都駅からJRで一駅の山科駅で地下鉄東西線に乗り換え、醍醐駅で下車して徒歩約10分です。ただし、醍醐駅からは上り坂が続くため、高齢の方や足に不安のある方は、山科駅から京阪バスを利用し、「醍醐寺前」停留所で下車すると、総門の目の前まで行くことができ便利です。
境内は総門をくぐると、右手に霊宝館、左手に三宝院があり、その先の仁王門を抜けると伽藍(がらん)エリアに入ります。さらに山道を登ると上醍醐へと続きますが、今回は時間の都合もあり、伽藍のみを拝観しました。
総門をくぐると、参道の両側には桜の木が並び、春には多くの花見客で賑わう名所となるそうです。季節外れの今は静けさに包まれ、しっとりとした趣が感じられました。
さらに進むと、立派な仁王門が姿を現します。その先が伽藍(がらん)エリアです。
境内の中心には国宝・五重塔がそびえています。あいにくこの日は雨模様で、iPhoneのレンズが濡れてしまい、美しい写真を撮ることはできませんでした。この後も終日、雨に見舞われることになります。
また、境内には弁天池もあり、秋には紅葉が水面に映り込む美しい光景が楽しめることでしょう。
醍醐寺にはおよそ1時間ほど滞在し、次の目的地へと向かいました。次に訪れるのは京都市内ではなく、滋賀県大津市にある石山寺です。総門前のバス停から乗車して山科駅へ向かい、そこからJR琵琶湖線で3駅先の石山駅へ。なお、山科駅では誤って湖西線に乗らないよう注意が必要です。石山駅に到着後は、京阪バスに乗り換えて「石山寺山門前」で下車します。バスは複数の方面に向かうため、案内所で確認してから乗ると安心です。
石山寺は東寺真言宗に属する古刹で、総本山は五重塔で有名な東寺です。天平19年(747年)に良弁僧正によって開かれ、天然記念物にも指定されている「石山」の巨岩(硅灰石)の上に建てられています。また、紫式部が『源氏物語』の構想を練った場所としても広く知られています。
しかし、ここでひとつ失敗してしまいました。石山寺の開門時間は16時30分までで、入山は16時まで。本堂に到着したのは16時10分頃で、ぎりぎりの拝観となってしまいました。紅葉がうっすら色づいています。
境内には、迫力ある硅灰石がそびえ立ち、紅葉の季節には一層美しい景観を見せてくれることでしょう。
国宝の多宝塔も見どころのひとつです。これは日本最古の多宝塔で、建久5年(1194年)に源頼朝の寄進によって建立されたと伝えられています。
結局、石山寺での滞在時間はわずか30分ほどにとどまりました。その後、本日の宿泊先である「ドーミーインPREMIUM京都駅前」へ向かい、17時30分頃にチェックイン。拝観時間が短かった分、予定より1時間ほど早く到着することができました。
旅の疲れを癒やすべく、ホテル自慢の天然温泉とサウナでゆっくりと体を温めた後、徒歩5分ほどの場所にある「餃子の王将」で夕食をとり、1日目の旅を締めくくりました。
2日目の朝は、前日とは打って変わって一面の青空が広がり、爽やかな快晴に恵まれました。最初に向かったのは、京都でも最も古い神社のひとつである上賀茂神社です。京都駅からバスでアクセスしましたが、京都駅のバス乗り場は非常に広いため、事前に乗り場を確認しておくことをおすすめします。今回はA2乗り場から出発する4号系統「四条河原町・上賀茂神社行き」9時38分発のバスに乗車し、約1時間ほどで上賀茂神社に到着しました。
上賀茂神社の正式名称は「賀茂別雷神社(かもわけいかづちじんじゃ)」といい、ご祭神は賀茂別雷大神(かもわけいかづちのおおかみ)。雷の神として知られ、厄除け・方除け・開運のご利益があるとされ、多くの参拝者に親しまれています。
境内に入ると、まず目を引くのが本殿前に建つ朱色の桜門。落ち着いた雰囲気の中にも華やかさを感じさせる美しい門です
さらに奥に進むと、国宝に指定されている本殿が厳かに鎮座し、その静寂と神聖さに心が引き締まる思いがしました。
ならの小川は境内を流れる清流で、平安時代から歌にも詠まれた風雅な景観です。
上賀茂神社ではおよそ40〜50分ほど拝観し、続いて向かったのは臨済宗相国寺派の大本山相国寺(しょうこくじ)です。
上賀茂神社前から4号系統「四条河原町・京都駅方面行き」のバスに乗り、北山駅で下車。そこから地下鉄に乗り換えて今出川駅で下車します。今出川駅周辺には同志社大学があり、学生と観光客が行き交う活気のある雰囲気に、どこか独特の趣を感じました。
相国寺は、金閣寺・銀閣寺と並ぶ臨済宗相国寺派の代表的な禅寺で、その本山にあたります。創建は応永元年(1394年)、室町幕府三代将軍・足利義満によって開かれました。
境内で特に印象的なのは、法堂(はっとう)と呼ばれる建物です。現存する中では日本最古の法堂で、重要文化財に指定されています。内部の撮影はできませんが、天井には「鳴き龍」と呼ばれる壮大な龍の絵が描かれています。その真下で手を叩くと、まるで龍が鳴いているかのような共鳴音が響き渡り、神秘的な空気に包まれます。
また、開山堂庭園では、禅寺ならではの静寂と秩序ある美しさを堪能することができ、心が自然と落ち着いていくのを感じました。
相国寺を後にした頃にはちょうど12時半を過ぎ、お腹も空いてきたので昼食をとることにしました。周辺は学生街のため食事処が多く迷いましたが、今回は「燻とん あくた川」でラーメンをいただきました。店内は学生で賑わっており、周囲を見渡すと皆、替え玉を頼んでがっつり食べています。僕はシンプルにノーマルのラーメンを一杯だけでしたが、香ばしいスープと麺の相性がよく、満足の一杯でした。
昼食後は、次の目的地である晴明神社へ徒歩で向かいました。今出川駅から徒歩12,3分のところにあります。ここは、平安時代に活躍した陰陽師・安倍晴明(あべのせいめい)をお祀りする神社です。
境内に進むと、安倍晴明を祀る本殿が厳かに佇み、静寂の中に神秘的な雰囲気が漂っていました。
今回の旅の最後の目的地は、京都を代表する神社のひとつ 平安神宮 です。烏丸御池駅で地下鉄を乗り換え、東山駅で下車。そこから徒歩およそ15分ほどで到着しました。
平安神宮は、京都の神社の中でも珍しく明治時代に創建された比較的新しい社で、平安京遷都1100年を記念して建てられました。現在では、京都の象徴的存在として多くの人々に親しまれています。
まず目に飛び込んでくるのが、鮮やかな朱色の大鳥居。高さ約24メートルもある巨大な鳥居で、遠くからでもその存在感が際立ちます。青空を背景にしたその姿は実に見事でした。
続いて迎えてくれるのが、平安神宮の正門にあたる応天門(おうてんもん)です。平安京の正庁を模して建てられた朱塗りの門は、重厚さと華やかさを兼ね備え、堂々とした佇まいを見せています。
そして境内奥に広がるのが、国の名勝にも指定されている神苑(しんえん)。約3万3千平方メートルにもおよぶ広大な日本庭園で、東・中・西・南の4つの庭が配置されています。どの庭も趣が異なり、四季折々の自然美をゆったりと楽しむことができます。
平安神宮を後にする頃には、さすがに歩き疲れ、足にじんわりと痛みを感じ始めていました。そこで、神宮のすぐ目の前にある「平安神宮前」バス停からバスに乗り、京都駅へと向かい帰路につきましたが、京都の名所を巡るひとときは、心に残る充実した素晴らしい旅となりました。